「ケータイ・ネット人間」の精神分析

「ケータイ・ネット人間」の精神分析
小此木啓吾,2005, 朝日新聞社(朝日文庫)
ISBN 4022614587

ケータイやネットの普及と大衆化によって,一般の人でも効率的な情報交換が可能になった。まさにIT革命である。しかし著者・小此木啓吾は,この革命は同時に,ネットを媒体とした,さまざまな引きこもりの心性を助長する物であるとの観点を持っている。前にも紹介したように著者は精神分析学の専門家であり,過去にはあり得なかったネット社会が持つ人間精神への影響の分析を,現実感の喪失,引きこもり,自己愛,モラトリアム,スーパーウーマン挫折症候群などのキー概念を使って試みている。

今回ここへ紹介するために再度読み返してみた。IT技術的な記述はすでに5年以上の年月が流れているので,現在時点での状況と多少の違和感はやむを得ないが,まだ未成熟なネット社会に既に萌芽しつつある仮想現実への引きこもりの病理を非常に的確に捉えていたことに感心した。また既にネット依存的な症状を持っている私(tsu2k)は以前読んだときよりもむしろ自己認識の切実性やこれらの現象への社会的認識不足を再認識させられた。ケータイメールやネットにはまっている人・はまっている家族を持つ人はご一読いただきたい。

※本書は「ケータイ・ネット人間」の精神分析,2000,飛鳥新社の文庫化である。

[内容や目次]
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by tsu2k | 2005-03-18 16:48 | 心理学本
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